思うこと

『本日は、お日柄もよく』ケの日もハレにする言葉の力

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 今回の都知事選の見方が変わったのは、少し前に原田マハの『本日は、お日柄もよく』を読んだから。

何を大切にしているのか、どんな言葉を選んで思いを伝えるんだろう、この候補者は。

という視点で見ていた。

OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。

ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。

それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。

空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。

久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ、野党のスピーチライターに抜擢された!

目頭が熱くなるお仕事小説。

ー福間文庫 作品紹介より引用

「本日は、お日柄もよく」

このお決まりのセリフから始まる、なんともつまらない祝辞。

スピーチの最中にこと葉がうたた寝してしまうという失態から物語は始まる。

「まっすぐに」原田マハの言葉に魅せられる

 体の栄養補給が食事だとしたら、私にとって心の栄養は素敵な文章や作品。

あらすじも知らずに読み始めた作品だけど、改めて美しい言葉との出会いが人生を豊かにしてくれていることを実感した。

 物語の中で、重要なキーワードになる

「まっすぐに」

この一言には

着実さ、しなやかさ、明るさ、素直さ、清々しさ、潔さ

そして

一直線に、のびやかに、生き生きとした様子

を伝えるパワーがあった。

たった一言なのに、誠実で揺るがない信念や勇敢ささえもを感じる

なんて可能性に満ちた表現なんだろう。

言葉ひとつひとつがみずみずしく輝いて見えて

背景や言葉の呼吸すらも想像させてしまうような表現が私にもできたら・・・

と心が震えた。

 仕事にやりがいを感じるわけでもなく、日々たんたんと過ごしていたOLのこと葉。

ただ生活していくための仕事ではなく、生き甲斐ともいえるライフワークに出会ってしまう。

そんな突然訪れる運命的な出会いに、ちょっと憧れる。

できることよりも、できないことに目を向けてしまいがちな私。

「得意なこと?個性?才能?そんなもの持ち合わせているんだろうか」

と答えは見つからないままだけど、いつかこと葉のように心からときめく、才能が開花していくような活動に出会えたらいいな。

いまはとにかく言葉にして伝えることを諦めずに生きよう。

 

 肌がじりじり焼けるような夏の太陽を感じながら、ひんやり涼しい図書館で静かに本を読む時間がたまらなく好き。

最近も素敵な本にたくさん出会ったので、気まぐれで記事にしていこうかな。