どこに行っても、大人はみんな忙しそう。
いつものスーパーで買い物をしているときのこと。
必要なものを揃えて”買うものリスト”にすべてチェックがついたので、レジに並んだ。
それにしても日本のスーパーの店員さんには毎回感動する。
商品のサイズや重さ、カゴ中の収まり具合を気にしながら、食材が潰れないように丁寧に収納してくれる。
おまけにお肉や汚れてしまいそうなもの用に、薄いビニール袋を添えて。
丁寧で手際もよくて、すごいなぁ
と感心していると、別の店員さんがやってきて
「3番目にお待ちの方、こちらへどうぞ!お待たせいたしました!」
隣のレジを開けて、これまた丁寧にぺコっと一礼される。
「いやいや、全然待ってないですよ〜。ありがとうございます。」
とこちらが返す間もなく、店員さんはすでに商品をスキャンし始めていた。
ん?
会計を終えて荷物台へ向かおうとすると、隣のレジで会計を終えたおじさんの目線を感じる。
そしておじさんは私を追い抜くように、斜め後ろから買い物カゴをシューッと滑り込ませてきた。
急いでいなかったので、心の中で「お先にどうぞ」と頭を下げて、おじさんに場所を譲る。
ゆっくり荷物をつめていると
椅子取りゲームならぬ場所取りゲーム?
どうやらこの絶妙な荷物台の奪い合いは、隣でも行われていたようだった。
場所を獲得した人から順に、ものすごいスピードで購入したものをマイバックへつめていく。
私がのんびりしすぎなのか、効率が悪すぎるのか、気づいたらどんどん周りの買い物客が入れ代わっていた。
彼らはみんな揃ってセカセカしているように見えた。
きっと大人はお仕事や子育て、やらなければいけないことがありすぎるんだ。
「少しでも早く家に帰って家事を済ませなければ・・・!」
そんな思いに駆られて大慌てでスーパーを後にする。
でも買い物の1分や2分を短縮しなければいけないほど、追われているものはなんだろう。
こんな光景を見るたびに、ミヒャエル・エンデのモモが頭をよぎる。
私たち大人は、時間と引き換えに、どこに大事なものを置いてきてしまったんだろう。
大事なものを見失わずにいられる人は、どれくらいいるのだろうか。