今回は各国の企業で導入されている『CHO(Chief Happiness Officer)』という役職のお話。
「日本の社会人ってなんとなく息苦しい」「もっと働きやすい環境にしたい」
「今の職場で自分に何かできることはないか」
そんな方にとって世界中で取り入れられている新しい役職についてお話ししていきます。
CHOとは
Chief Happiness Officerという企業内の役職のこと
- 「従業員の幸せ」をマネジメントする役職
- 人事部に該当することが多い
- 必ずしも管理職である必要はない
世界的には様々な大手企業が取り入れているにもかかわらず、日本ではあまり普及していないのが現状です。
仕事内容
具体的な仕事内容は…
創造性やパフォーマンス向上のため従業員の意識調査を行う
心理学や社会学、自身の経験に基づいて評価し改善を提案する
ワークライフバランスのとれた職場環境改善の提案をする
社内外でのワークショップの開催
導入による効果
【1】離職率の低下
幸福度や満足度の高い人は職場で良好な人間関係を築いているため転職率は低いと言われている。
【2】欠勤率の低下
WHOは身体的・社会的・精神的に完全に良好でないと健康ではないと定義している。
心から健康でいることによって体の不調も起きにくくなる。
【3】売り上げの向上
従業員が幸せでいることで生産性が向上すると言われている。
「米国のディーナー博士らによる研究では、『幸せな従業員は創造性が高い』[Lyubomirsky, King, Diener]という結果が出ています。幸福度の高い従業員は創造性が3倍、生産性は31%高く、売上は37%高い。
前野 隆司氏(慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授)「幸せな職場」のつくり方~従業員が幸せになれば会社が伸びる~
すでに導入している企業
代表例
Google (米国:CHOの存在が広まったきっかけ)
Zappos(米国:靴を中心としたアパレル関連の通販小売店)
etc…
注目される理由
幸福経営と健康経営の研究が進み、関心や意識が高まっている
効果的だったことを裏付ける調査結果の数々
エド・ディーナー博士(アメリカ・イリノイ大学名誉教授)がハーバード・ビジネス・レビュー2012年5月号「幸福の戦略」にて
幸せな従業員はそうでない人に対して
- 想像性
- 生産性
- 売り上げ
がそれぞれ3割高いとして欠勤率や離職率も低いという報告をしている。
フランスの「CHO les club」が話題になった
L’Optimisme.PROが運営する会員制のオンラインコンテンツ
この会員制クラブが欧州でCHOが注目されたきっかけとも言われており、CHO同士の情報共有ができます。(フランス語のみ)
代表的な3名のCHO
世界的に有名なCHOはたくさんいますが今回は3名をご紹介していきます。
中国:Chade-Meng Tan氏(チャディー・メン・タン)
CHOの火付け役とも言われる存在
元GoogleのエンジニアでGoogle発足初期のチームをリードし、独自のマインドフルネストレーニング(SIY)を開発しました。
チャディー・メン・タン氏は“Jolly Good Fellow”(陽気な善人・とにかくいい人)という肩書きで呼ばれており
彼の著書「サーチ・インサイド・ユアセルフ 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法」は26か国以上で翻訳され、世界的なベストセラーになっています。
デンマーク :Alexaner Kjerulf氏
Woohoo.inc(デンマークのコンサルティング企業)のCHO
Woohoo.inc は世界50カ国以上の某有名企業をクライアントとして抱えるコンサルティング会社
Ted x Talk 2010 コペンハーゲン で登壇し
Arbejdsglæde(英訳:Happiness at work)についてお話しされています。
彼は講義の中で
「果たして世界幸福度ランキング上位の国、我々デンマーク人は本当に幸せなのか?」
と投げかけます。
「人々は目に見えてわかるほど、いつも笑顔で毎日が楽しく仕方がないのか?
いや、そうではない。」
「目の前の日常に満足して生きている」のだと彼は言います。
日本:丹羽 真理氏
丹羽 真理さんの経歴や詳細はこちら
先ほど紹介したWoohoo.incが提供するコース”Woohoo Academyプログラム”を
日本人で初めて修了し現役CHOでありながら
日本でCHOという役職を広める活動をしている方
丹羽さんはCHOについてこのように話します。
幸せな職場をデザインするCHOはクリエイティブなアクションを実行していくことを求められます。そして何より、CHO本人がハッピーであることが重要です。
実際に著書を読んでここでは紹介しきれないハッとさせられる言葉がたくさんありました。
丹羽さんの話すように”日本中の職場から「眉間のしわ」”がなくなることを願って。
少しずつ固く凝り固まった考え方がほぐれていきますように。
Ideal Leaders株式会社「ウェルビーイング経営 ー 第3回
ウェルビーイング経営を促進するCHOとは?」
パーパス・マネジメントー社員の幸せを大切にする経営 丹羽 真理氏著書