「転職するなら、まずは自己分析から」
そう思って転職サイトの自己分析のページを開いてみたものの、「あなたの強みは何ですか?」「志望動機につながる経験は?」という問いの前で、手が止まってしまう。
私自身も同じような経験があり、「どうせ自分には何もない」と落ち込んでしまうこともありました。
手が止まってしまうのは、あなたに語れることがないからではありません。
もしかすると、「選ばれるための答え」を、先に探そうとしているからなのかもしれません。
この記事では、選考で話すためではなく、「自分が心地よく働ける条件」を知るための自己分析シートを紹介します。
5つのステップ、20の質問に答えていくうちに、自分に合う働き方が少しずつ見えてくるはずです。
印刷して書き込める無料のワークシート(PDF)もご用意しました。私自身が実際に書いてみて気づいたことも、あわせてお伝えします。
- 転職の自己分析が苦しくなりやすい理由
- 「心地よく働ける条件」を知るための20の質問(無料ワークシート付き)
- 自分らしい働き方を探していた私が、実際に書いてみて気づいたこと
- 書いたシートを、仕事探しに活かす方法
転職の自己分析が苦しくなるのは、「選ばれるため」の自己分析だから

よくある自己分析は、選考で話すための道具
転職サイトや本で紹介されている自己分析の多くは、これまでの経歴を棚卸しして、強みや実績を言葉にし、志望動機や面接での自己PRにつなげることを目的にしています。
「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「求められること(Must)」の3つを整理する方法も、よく知られた考え方のひとつです。
もちろん、選考を受けるうえで、こうした自己分析はとても役に立ちます。
けれど、「どう見せるか」を考えながら書く自己分析は、知らず知らずのうちに、自分を採点するような時間になってしまうことがあります。
「これは強みと言えるほどのことだろうか」「もっとすごい実績がないと」。
そう考えるほど、ペンは重くなってしまうものです。
その前に知っておきたい「心地よく働ける条件」
選考のための自己分析の前に、もうひとつ大切にしたいことがあります。
それは、「自分はどんな条件のもとでなら、心地よく働けるのか」を知ることです。
どれだけ評価される仕事でも、毎日すり減ってしまう環境では、長く続けていくのは難しいもの。
反対に、自分に合う条件がわかっていれば、求人を見るときにも、面接で質問をするときにも、自分の軸を持って選べるようになります。
社会人の自己分析では、これまで働いてきた中で感じたことが、いちばんのヒントになります。
このシートでは、心地よく働ける条件を、次の4つの視点から見ていきます。
自分に合う働き方を探すときの、土台になる部分です。
心地よく働ける条件を知る4つの視点
- 元気が湧くこと・疲れてしまうこと:達成感や楽しさを感じる場面と、気力をすり減らしてしまう場面
- 環境:人との距離、仕事のペース、働く場所や時間
- 大切にしたいこと:仕事を通して大切にしたいもの、避けたいもの
- 無理なく力を発揮できること:職場で自然と担っている役割や、疲れにくい作業
このシートの使い方
自己分析シートは、全部で7ページです。
STEP1〜5の20の質問と、最後に「求人を見るときのメモ」がついています。
書くときは、次の4つを大切にしてみてください。
- 正解はありません。思い浮かんだことを、そのまま書いてみてください
- 答えが出ない質問は、白紙のままで大丈夫です
- 「嫌だったこと」「疲れたこと」も、正直に書いてかまいません
- 一度に全部書かなくても大丈夫。日を分けて、少しずつ進めてみてください
書き終えるまでの目安は、30分ほどです。(私も20の質問を約30分で書き終えました)

※ワークシートは、個人での利用に限り、自由に印刷してお使いいただけます。ファイルの再配布や、質問の内容の転載はご遠慮ください。
ご家族やお友だちに紹介していただけるときは、この記事のURLをシェアしていただけるとうれしいです。
心地よく働ける条件を知る自己分析シート【20の質問】
ここからは、シートの20の質問を、ステップごとに紹介します。それぞれの質問に、書くときのヒントも添えました。
各ステップの最後には、回答例も載せています。
あくまで答え方の一例なので、とらわれずに、あなたの言葉で自由に書いてみてくださいね。
STEP1 これまでの仕事をふりかえる
経歴をまとめる必要はありません。そのとき、どんな気持ちだったかを思い出してみましょう。
1. これまでの仕事で、「この仕事、好きだったな」と思い出す場面はありますか?
大きな成果でなくても大丈夫です。資料がきれいにまとまったとき、お客さまと少し言葉を交わせたとき。小さな場面ほど、あなたの心地よさのヒントが隠れています。
2. 一番しんどかった時期、何が一番つらかったですか?
忙しさだったのか、人間関係だったのか、それとも「自分の仕事に意味を感じられない」ことだったのか。つらさの中身を分けてみると、避けたい条件が見えてきます。
3. 「離れたい」と思ったことがあるなら、その本当の理由は何でしたか?
人に話した理由と、心の中の理由が違うこともあります。ここでは、自分にだけわかる言葉で、正直な気持ちを書いて大丈夫です。
4. 今の(または前の)仕事を選んだとき、何を一番大事にして決めましたか?
お給料、場所、仕事内容、安定。そのとき大事にしたことが、今も同じとは限りません。「当時の私」と「今の私」を比べてみるのもおすすめです。
- 質問1:締め切り前に、チームで役割を分けて一気に仕上げたとき。大変だったけれど、終わったあとの一体感が好きだった
- 質問2:仕事の量よりも、何のためにやっているのかわからない作業が続いたことがつらかった
- 質問4:「安定していること」を一番に考えて決めた。今は安定よりも、自分のペースで働けることの方が大事かもしれない
STEP2 元気が湧くとき・疲れてしまうとき
同じ仕事をしていても、元気が湧いてくる日と、どっと疲れてしまう日があります。その違いに、あなたが心地よく働ける条件が隠れています。
5. 仕事中や仕事が終わったあとに、「なんだか元気が湧いてくる」と感じたのは、どんなときでしたか?
「今日はやりきった!」と達成感を感じた日や、「なんだか楽しかったな」と思えた瞬間。そんなときの仕事の中身や、一緒にいた人を思い出してみてください。
6. 反対に、どっと疲れてしまったのは、どんなときでしたか?
疲れの理由は、仕事の量だけとは限りません。気を張り続ける場面や、自分の気持ちを抑える時間が長かった日も、疲れはたまりやすいものです。
疲れていることに、自分では気づきにくいと感じる方は、自分の限界に気づけない人の特徴|身体からのサインを見逃さないためにも読んでみてください。
7. 一人で集中する時間と、誰かと話しながら進める時間、どちらが長いと楽ですか?
どちらが良い・悪いではありません。一人の時間で元気を取り戻す人もいれば、人と話すことで元気が湧いてくる人もいます。
8. 通勤・在宅・時間の決まり方など、働く「かたち」で心地よかったものはありますか?
通勤時間、在宅勤務の日数、始業・終業時間の決まり方、残業の多さ。仕事の中身と同じくらい、働く「かたち」も心地よさを左右します。
- 質問5:企画を考えたり、資料の見せ方を工夫したりしているとき。気づいたら時間が過ぎていて、帰り道も気持ちが明るかった
- 質問6:一日に何度も予定が変わって、そのたびに頭を切り替えた日。仕事の量はいつもと同じなのに、ぐったりしてしまった
- 質問7:一人で黙々と進める時間が長い方が楽。人と話すのは好きだけど、一日に何度も会議があると、夕方には疲れてしまう
- 質問7:誰かと話しながら進める方が楽。一人で考え込むと不安になりやすく、ちょっとした相談ができる環境だと元気が湧いてくる
STEP3 仕事で大切にしたいこと
誰かに説明するための答えでなくて大丈夫です。あなたが本当に大切にしたいことを書いてみましょう。
9. お給料が同じなら、あなたは何で仕事を選びますか?
条件が同じとき、最後の決め手になるもの。そこに、あなたが仕事に求めているものが表れます。
10. 「この働き方だけは避けたい」と思うことは何ですか?
「避けたいこと」は、裏返すと「大切にしたいこと」でもあります。たとえば「いつも急かされる働き方は避けたい」なら、「自分のペースで丁寧に進められること」を大切にしたい、と言いかえられるかもしれません。
11. 仕事を通して、誰の、どんなことの役に立てているとうれしいですか?
目の前のお客さま、一緒に働くチーム、社会のどこかにいる誰か。役に立ちたい相手が見えてくると、あなたにとってのやりがいの形がはっきりしてきます。
12. 仕事と暮らしのバランスは、どのくらいだと心地よいですか?
仕事に打ち込みたい時期もあれば、暮らしを大切にしたい時期もあります。「今の私」にとってのちょうどいいバランスを書いてみてください。
- 質問9:一緒に働く人の雰囲気。尊敬できる人や、気軽に相談できる人がいる職場を選びたい
- 質問10:いつも誰かと比べられる働き方。数字で競い合う環境だと、自分のペースを見失ってしまう
- 質問12:平日の夜に、料理をしたり本を読んだりする時間が少しでもあると心地よい
STEP4 無理なく力を発揮できる場面
「すごいこと」を探さなくて大丈夫です。職場でのふだんの行動を、そのまま思い出してみましょう。
13. 職場で、つい自分から引き受けてしまう役割は何ですか?
会議のまとめ役、新しく入った人への声かけ、意見の違う人のあいだに入ること。頼まれる前に動いてしまう役割は、あなたが無理なく力を発揮できる場面なのかもしれません。
14. 同じ量の仕事でも、人より疲れにくかった作業は何ですか?
周りがぐったりしている作業でも、自分はそれほど疲れない。そこには、あなたの性質に合った仕事のヒントがあります。
15. 新しい仕事の中で、比較的すぐに慣れたことは何ですか?
すぐに慣れたことは、あなたにとって自然に取り組めることなのかもしれません。反対に、なかなか慣れなかったことも、合う・合わないを知る手がかりになります。
16. 仕事でトラブルが起きたとき、あなたは最初に何をしていますか?
まず情報を集める、関係する人に連絡する、すぐに手を動かす、落ち着いて全体を見渡す。とっさの行動には、あなたが得意とする動き方が表れます。
- 質問13:会議のあと、決まったことをまとめて共有する役割。誰かに頼まれたわけでもないのに、気づくといつもやっている
- 質問14:細かい数字の確認やチェック作業。周りは「目が疲れる」と言うけれど、自分は集中できて意外と苦にならない
- 質問16:まず関係する人に連絡して、状況を共有する。一人で抱え込むより、早めに周りに知らせる方が落ち着く
強みについてもっと深く知りたい方は、自分の強みがわからない理由|才能は「あまりにも当たり前なこと」の中に隠れているも参考にしてみてください。
STEP5 これからの働き方を描く
ここまでの答えを、ゆっくり見返しながら答えてみてください。これからのあなたが心地よく働ける条件が、少しずつ見えてきます。
17. 次の職場で、仕事を始める前の朝、どんな気持ちでいられたらうれしいですか?
「わくわくしていたい」「穏やかでいたい」「少し緊張感があるくらいがいい」。気持ちを表す言葉から、あなたが求める職場の空気が見えてきます。
18. これからの仕事では、もう手放してもいいと思うことはありますか?
無理をして続けてきた習慣や、「こうあるべき」という思い込み。次の仕事に持っていかなくてもいいものを、そっと手放してみましょう。
19. STEP1〜4の答えの中で、何度も出てきた言葉や、似ている答えはありますか?
別々の質問なのに、同じような言葉が何度も出てくることがあります。それは、あなたにとって大切な条件である可能性が高いものです。
20. 「これがあれば心地よく働ける」と思う条件を、大切な順に3つ書くとしたら何ですか?
3つに絞ることで、求人を見るときの軸がはっきりします。迷ったら、STEP2とSTEP3の答えを見返してみてください。
- 質問17:「今日もやってみよう」と、少しだけ前向きな気持ちでいられたらうれしい
- 質問18:「全部ひとりで完璧にやらなければ」という思い込み
- 質問20:1. 自分のペースで進められる 2. 気軽に相談できる人がいる 3. 平日の夜に自分の時間がある
【体験談】自分らしい働き方を探していた私が、実際に書いてみて気づいたこと
ここからは、私自身がこのシートを書いてみて気づいたことをお伝えします。
答えは人それぞれなので、あくまで一人の例として読んでいただけたらうれしいです。
正直にお伝えすると、質問15「新しい仕事の中で、比較的すぐに慣れたことは何ですか?」には、最後まで答えが浮かばず、「わからない」と書いて次へ進みました。
それでも、ほかの質問の答えから、たくさんの気づきがありました。
書く前は「求人票の条件」ばかり見ていた
シートを書く前、私が「自分の条件」だと思っていたのは、通勤時間や給与、福利厚生といった、求人票に書いてある条件でした。
もちろん、どれも暮らしを支える大切な条件です。けれど書き終えてみると、私が本当に大切にしたかったものは、求人票の外側にありました。
書いてみて見えてきた、私の「心地よく働ける条件」
どんな業界かより、どんな業務をするか
「この仕事、好きだったな」と思い出したのは(質問1)、一緒に働くスタッフが安心して対応できるように、業務フローをまとめたり、環境を整えたりしている時間でした。
無理なく力を発揮できる場面にも(質問13・14)、「調べてまとめる作業」と書いていました。
どんな業界で働くかよりも、毎日どんな業務に向き合うのかの方が、私にとっては大切なのかもしれません。
一緒に働く人と、職場の空気
しんどかった時期を振り返ると(質問2・3)、この人たちのために頑張りたいと思えなくなってしまったことが、一番のつらさでした。
反対に、仕事を選ぶときの決め手には(質問9)、「一緒に働く人の温かさ」と書いていました。
条件面だけではわからない、人や職場の雰囲気を、私はとても大切にしていたのだと気づきました。
「ありがとう」と言ってもらえること
元気が湧いてくるのは(質問5)、一緒に働くスタッフや、サービスを受ける方に感謝されたとき。
「ありがとう」「あなたのおかげで助かったよ」と言ってもらえると、やりがいを感じます。
たくさんの業務を抱えている人を見ると、つい「できることありますか?」と声をかけてしまう(質問13)のも、同じ気持ちにつながっているのかもしれません。
何度も出てきた言葉は「安心」「人」「まとめる作業」
質問19で答えを見返してみると、別々の質問なのに、同じ言葉が何度も出てきていました。それが「安心」「人」「まとめる作業」の3つです。
そこから、質問20では、私が心地よく働ける条件を、次の3つにまとめました。
私の心地よく働ける条件
- よりよいサービスを提供するために、一緒に悩んで、考えて、共に学び合える安心感のあるチーム
- ほどよくお休みが取れて、仕事でもプライベートでもワクワクできること
- 自然に「ありがとう」が言い合える職場
書く前に考えていた「通勤時間」「給与」「福利厚生」という言葉は、一つも出てきませんでした。
「迷惑をかけたくない」を、手放してもいいのかもしれない
これからの仕事で手放してもいいと思うこと(質問18)には、「迷惑をかけたくない」という気持ちを書きました。
振り返ってみると、どっと疲れてしまったのは(質問6)、一人でとにかく効率よく現場を回さないといけないときでした。
迷惑をかけないようにと、一人で抱え込もうとしていたのかもしれません。
けれど、シートを見返してみると、私が心地よいと感じるのは、誰にも迷惑をかけずに一人で完璧にこなすことではありませんでした。
同じ方向を向いて一生懸命に働いている仲間となら、うまくいかないことがあっても、一緒に悩んで、相談し合えるはず。
迷惑をかけないことよりも、困ったときに頼り合える関係を大切にしたい。
質問20のひとつめに「一緒に悩んで、考えて、共に学び合える安心感のあるチーム」と書いたのも、きっとこの気持ちからだったのだと思います。
自分が心地よく働ける条件を知ることは、頑張りすぎていた自分を、少しだけゆるめてあげることにもつながるのだと感じています。
書いたシートを、仕事探しに活かすには
「心地よく働ける条件」を、求人を見るときの軸にする
シートの最後のページは、「求人を見るときのメモ」になっています。
質問20で書いた3つの条件を書き写し、気になる求人ごとに「◯ 合いそう」「△ わからない」「× 合わなそう」の印をつけてみてください。
求人票だけではわからない「△」の条件は、面接で質問してみたいことの候補になります。
条件に照らして求人を見ていくと、給与や知名度だけで選んでしまうことが少なくなり、自分の軸で比べられるようになります。
選考のための自己分析へつなげる
このシートで見えてきた条件は、そのまま志望動機の土台にもなります。
たとえば「自分のペースで丁寧に進められる環境で働きたい」という条件が見えていれば、「なぜこの会社を選んだのか」を、自分の言葉で話しやすくなるはずです。
強みを伝えるときは、STEP4の答えを、具体的な出来事とあわせて整理してみてください。
職務経歴書や面接でも、無理に飾らない、あなたらしい言葉で話しやすくなるはずです。
一人で整理しきれないときは
書いてみても、答えがなかなかまとまらないこともあります。
そんなときは、無理にひとりで結論を出さなくても大丈夫です。
- 信頼できる人に、シートを見せながら話してみる
- 診断ツールで、自分のことを客観的に見てみる
- キャリアの専門家に相談してみる
診断やツールで自分を客観的に見てみたい方は、自己分析ツール3選|ジャーナリング・MBTI・遺伝子検査で「本当の自分」を知る方法で、自分を客観的に知るためのツールを紹介しています。
おわりに|条件は、何度書き直してもいい

心地よく働ける条件は、暮らしや気持ちの変化とともに、少しずつ変わっていくものです。
今日書いた答えが、半年後には違っていても大丈夫。
迷ったときは、前回書いたときの自分と、今の自分の変化を比べてみてください。
仕事を探していると、つい「選ばれるかどうか」ばかりが気になってしまいます。
でも本当に大切なのは、あなた自身が心地よく、あなたらしく働けること。
このシートが、そのための小さな地図になればうれしいです。
仕事以外の場面も含めて、もっと自分のことを知りたくなったら、自分を知る質問30選|書くだけで自己理解が深まる【無料ワークシート付き】もあわせて書いてみてくださいね。
自分を知るためのほかの記事は、自己理解とは?自分を知る方法が見つかる完全ガイドにまとめています。



